
観る者を1コマ目から作品に引きずり込む
最近、「天才ソール・バスが変えたテレビの見方、映画の見方」という記事を読んだ。
ソール・バスは映画タイトルデザインの名手と言われている人。
1950年代から70年代にかけてハリウッド映画のオープニングを手がけて数々の傑作を残した。
有名なところではヒッチコックの『サイコ』、ロバート・ワイズの『ウェスト・サイド物語』などがある。
上記の記事には以下のことが書かれている。
バスは映画のオープニングを作る時、
観客は1コマ目から映画のなかに入り込まねばならない(略)。
タイトルシーンはこれから展開する物語の心理・感情的な雰囲気を打ち出すもの(略)。
と考えていた。
『弁護士ビリー・マクブライド』のオープニング
さて、本題は『弁護士ビリー・マクブライド』だ。
ソール・バスはこの作品とamazonオリジナルのドラマとは無関係だが、『視聴者を1コマ目からドラマの中に入り込ませ、これから展開する物語の心理・感情的な雰囲気を打ち出す」というバスの考えは『弁護士ビリー・マクブライド』のオープニングにも受け継がれている。
深い海の底を弁護士らしいスーツ姿でタバコを吸いながら歩くビリー・マクブライド。
海底のベッドが燃え上がり、やがて、炎に包まれた門を通り過ぎると彼は海面に向かって浮上していく。
このオープニングでどん底に落ちた弁護士の心理と「救済・再生」というテーマが明確に伝わってくる。
オープニングテーマはサイレント・コメディの『バーソロミュー』
このオープニングの背景に流れる力強い歌はサイレント・コメディの曲。
サイレント・コメディはロックやフォークをベースにしたサンディエゴのバンド。
ジョシュア・ジマーマンとエレミア・ジマーマの兄弟を中心に活動している。
オープニングで使われている曲のタイトルは『バーソロミュー』だ。
この曲はこれまでアメリカでゲームのテレビコマーシャルやテレビシリーズで度々使用されてきた。
オープニングでテーマ曲として流れるのは今回が始めて(と思われる)。
どんな歌かというと
川に浸かった人物(男?)が「助けてください」と救済を乞う歌だ。
1~3番まで歌詞があり、最初は膝まで浸かっていたのが、やがて腰まで浸かり、最後は頭まで川に飲み込まれてしまう。
それでも歌詞の最後の方で
I’m all alone and the fire grows
と歌っている。
俺は独りだがメラメラと燃えているぜ!
という感じに意訳するとビリー・マクブライドの気持ちにぴったりくる。
まとめ
映画にしろドラマにしろ、オープニングとテーマミュージックが良いものにハズレはない。
本編はもちろん、オープニングに関しても『弁護士ビリー・マクブライド』は傑作だ。
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