
国際情勢を読み解くヒント満載の一冊
『大国の掟~「歴史×地理」で解きほぐす~』を読んだ。
この本は
国際情勢を正確に把握する力を身につけること
を目的としている。
サブタイトルにあるように『大国の掟』は歴史と地理の知識で、そう言った知識がゼロの人にも分かりやすく、世界を解きほぐしていく。
僕は国際情勢も歴史も地理も得意でないのでナルホド!と思うことばかりだった。
学生時代に歴史と地理を習ったが歴史は歴史、地理は地理と習っていたのでこの本に何度も登場する「地政学」のような視点はなかった。
知っていたらもっと歴史や地理の授業はもっと楽しかっただろう。
例えば、なぜ、ギリシャは債務危機に陥ったか?
この本で始めて知った「歴史×地理」がある。
例えば、ギリシャだ。
少し長いけれど以下に引用します。
ギリシャは列強の介入によって作られた人工国家ですから、誰を国王とするかも列強の意のままでした。列強にとってギリシャは、西側のキリスト教文明の橋頭堡であるという位置付けの方が強かった(略)~84ページより~
そして、
西側はギリシャの産業化を支援しませんでした。なぜか。工業が発達して工場労働者が生まれると、共産党による組織化がなされるからです。そのため、工業と観光だけの国して、NATO(北大西洋条約機構)の基地を置いて、金銭的援助によって経済が成り立つようにしたわけです。~86ページより~
産業がないのだから、ギリシャが債務危機に陥るのも当然です。ギリシャに言わせれば、欧米諸国の世界戦略のせいで、基幹産業が発展しなかったし、慢性的な財政赤字になっている。(略)ユーロを導入したギリシャに対して、ドイツは「借金してでも買え」とドイツ製品を売りつけた。ギリシャ人にとっては「返せないことがわかっていて貸し付けて、ドイツはいい目を見たのだから、返済を値引きしろ」と言いたいわけです。~86ページより~
ということが書かれてある。
これまでギリシャはどうして借金だらけの国になったのだろうか?やたらに公務員が多いのはなぜだろうか?ギリシャ人は怠け者なのだろうか?などと(かなり乱暴な)疑問を抱いていたが、歴史と背景を『大国の掟』で知り、疑問は氷解した。
これはほんの一例だ。
先行きの見通しにくい時代にアナロジー的な思考を鍛える
このように世界情勢に関して『大国の掟』にはナルホド!と思うことがたくさん詰まっている。
この本を読んで身につけられるのはアナロジー(類比)的なものの見方だ、
アナロジー的な思考とは、類比性を見つけて考えること。この考え方を身につければ、未知の出来事に遭遇したときでも、過去の出来事と類比を考えて、冷静に分析できる。(略)先行きが見通しにくい時代であればあるほど、アナロジー的な思考は大きな力を発揮します。~10ページ~
と「序章」に書かれている。
『大国の掟』は分かりやすい文章と説明でスラスラと読める。
しかも、読み通した時にアナロジー的思考のコツが理解できる。
歴史、地理、そしてアナロジー的思考が学べるお得な本でもある。
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